大判例

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大阪高等裁判所 昭和28年(う)1575号 判決

本件起訴状に公訴事実として掲げられた訴因は、これを要約すれば、被告人は昭和二七年三月下旬頃その斡旋によつて和歌山県日高郡寒川村所在奥村重雄所有の杉立木約三〇〇石の売買契約を売主奥村と買主坂本信治との間に成立せしめ右坂本からその代金内金として現金十三万円を預り保管中その頃同郡下山路村等で擅に自己の生活費等に費消横領したものである、というのであつて、その費消の回数、場所及び使途が多数にわたることがうかがわれるに拘らずそのおのおのについての日時、場所及び使途について明記されていないことは所論のとおりである。しかしながら、右金員は前示立木代金として坂本から預つたものであつてその占有の由来を同じくし、その犯罪の態様はひとしく費消横領であり、その時及び場所も共に近接していることが推知し得られ、継続した意思の下に単一の法益を浸したものと認められるから、本件公訴事実はいわゆる包括一罪にあたるものというべく、起訴の趣旨もまたここに存することは右記載及び罰条の表示を通覧してこれを察するに難くない。しかして包括一罪については必ずしもこれを構成する各個の費消行為の時、場所及び方法について逐一これを明確にせねばならないものではないのであつて、本件起訴状にはその犯行の時期のほかその場所及び使途につきそれぞれ少くともその代表的な一例が掲げられているのであるから、本件公訴事実の記載が刑事訴訟法第二五六条第三項に違反するものであるということはできない。

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